8人の侍、世界遺産を斬る!

決死のチャレンジ 知床半島海岸トレック60km

 

昨年、チーム『なま癖』でこのルートを完走(漕?)した時、「もう2度と来なくていいわ〜」と思ったくらいハードでへロヘロになったハズなのに、

日が経つにつれて辛い思い出はことごとく消え、楽しいイメージばかり浮かび上がり、そして、うっかり企画されてしまったこのツアー。

ハードなルート、厳しい気候、海水温の低さ、人間を何とも思わないヒグマたち・・・・

どっから見ても『ヤバくな〜い?度』ナンバーワンのツアーに、各地から6人の猛者どもが集まった。

良く言えば命知らずのチャレンジャー、悪く言えば・・・ 身の程知らずのアンポンタン(失礼。。)

もちろん誰でも簡単に行けるエリアではない。みな北海道の冬、海、山のハードツアーをクリアしてきた経験者たちなのだ。

そして何より大事なのが、厳しい状況をクリアしていくためのチームワークと素早い状況判断、そして定石にとらわれない楽観的な思考を

持ち合わせた ハイテンションな奴らじゃなきゃ、この真のウィルダネス知床半島を制することはできないのである。

果たして8人の運命は如何に・・・・

 

written by セバスちゃん

photo by セバスちゃん&キレンジャー

 

シリエトクエクスペディションなまらなメンバー

 

  

上段左から・・・ ぴーちゃん(飴野)、クリオさん(佐藤)、勇くん(田川)、渡辺建設(渡辺)

下段左から・・・ ハッシー(橋本)、キレンジャー(平井)、レンジャー(狩野)、セバスちゃん(塚原)

 

 

DAY1

相泊〜モイレウシ(4h15m 日本新記録)※世界記録 3h50m '04.8

 

 

左)昼過ぎ相泊に到着。ポカポカ陽気も手伝ってなかなかパッキングが進まない

右)今回はキケンなので出発前に元気な姿を収めておくことにした

 

 

左)今年はコンブ豊作です。でも消費量全国ナンバーワンは沖縄県って知ってますかぁ? 

右)いつもは面倒な高巻きも、みんな軽快な動きでロープも使わず早い早い!

 

 

左)モイレウシ朝の風景・・・ 船でやってきた観光客の見世物となる。フネなら数十分で来れるこの湾は夏休みもあって釣り人などで賑やか。 

右)起きた時に見えてた国後も、あっという間に海霧の向こうに消えてしまった。特に羅臼側の天候は変わりやすい

 

※今日の出来事

・ピーちゃんが港で準備中悲鳴をあげた。買ったばかりの海パンを開けたらサイズはレディースのM・・・。残念!準備はしっかりとね。

・歩き始めて1時間。長年連れ添った僕のサロモンのお気に入りシューズのソールがベロンチョ。応急処置するもかなりのハンデ。準備はしっかりとね、俺!

・ハッシーの36回目のバースデー!焚き火パーティーの予定も、疲労の為かみんな即寝。ごめ〜ん、ハッシー

 

DAY2

モイレウシ〜ヒヤラモイ(9h 日本新記録)※世界記録 8h30m '04.8

 

 

左)ペキンの鼻を越えると天気は一変。青空は疲れた身体に一番のカンフル剤だ 

右)そろそろ泳ぐか〜!徐々に水に慣れさせていく

 

 

左)念仏岩の泳ぎは湾型のため穏やかだったが、岬近くのカブト岩付近はかなりウネリング! 

右)荒れた海はスピードもでないし体力もかなり消耗してしまう。それでも泳ぐしかないのれ〜す

 

左)ようやく岬台地へ。赤岩で某山岳会のハゲにくだらないイチャモンをつけられたが、構っているヒマはないので先を急ぐ

右)岬で何をやろうか迷った挙句、これに決定。北海道最北東端人間ピラミッド!たぶん世界初?・・・・

 

 

左)岬を後にし、西に傾きはじめた太陽と競争しながら目前のキャンプ地を目指して泳ぐ

右)獅子岩の奇岩エリア。僕がコース中一番気に入っている場所だ

 

 

左)オホーツクの海=北の海、寒い、流氷、演歌・・・等々 ネガティブな印象が多いけれど、岬付近の海は透明度も高くかなりキレい

右)焚き火班、テント班、食事班、ビール班。すばやく分担を決めて夜の宴会に備える

 

魚介ハンター、ハッシーとかりっちはどんなに遅く着いても、海が冷たくとも、常に海へ食糧調達に出かけた。感心感心! 

 

※今日の出来事

・かなり完璧と思っていた防水システムが早くも崩壊・・・。失ったもの俺のMP3オーディオ、防滴ラジオ、ハッシーのデジカメ

・笑っていた田川君も、キャンプ到着後ザックを開けるとビッショリ。『あり得ねぇ〜』を連発。ウエットシュラフの寝心地はどうだったのかな?

・お盆休み返上で、鹿&植生調査を行ってた。今春岬で死んだ鹿150頭近く、、ほとんどは餓死。そしてクマのエサになってるという。

 

DAY3

ヒヤラモイ〜カパルワタラ(7h15m 参考記録)

 

   

左)3日目に入ると疲労もかなり溜まってくる。しかし、このコースは後半になればなるほどハードなルートになってくる

右)出発しておよそ2時間。函型にオホーツクに流れ込む海賊湾(通称)で水遊び

 

   

左)昨年より1週間早いのに小さな川でも河口付近はマスがうじゃうじゃ。マスは相手にならないので川に潜ってオショロコマをゲット! 

右)スイム、ハイクが頻繁に混じるウトロ側ではこのスタイルも有効なシステムとなる。名付けて『犬の散歩  ポチ、こっちへいらっしゃい!』

ちなみに水をたっぷり吸ったザックは1.5〜2倍もの重量になる・・・・

 

 

左)予定の蛸岩に届かず手前の湾で今日のキャンプ設営。海に沈む夕陽を見るてると、時の流れを直に感じることが出来る

右)暗くなればこっちのモン!たとえ地の果てまで行こうと、早く落ちた者は落書きの刑に処せられる。これも一つのストレス発散法なんです

 

   

左)5万分の地形図に記録を書き込んでゆく。徐々にゴールが近づいてくるのを実感できる瞬間だ 

右)予報に反した突然のドシャ降り。朝4時の雨は冷たく、モチベーションも下がる。こんな時は感情を交えず、機械的に動くのみ。

 

※今日の出来事

・濡れたパンツで長時間歩いたため股ズレ者続出。もちろんアレが擦れるのが原因。かりっちが特にヒドかった・・・・

・旅も3日目となると焼き肉欲が高まった。さすがに自給自足じゃブタ肉も牛肉もゲットできないですから〜

 

 

DAY4

カパルワタラ〜カムイワッカ(9h 追い風参考記録)

 

    

左)このコース核心部のカシュニの岩付近。この窓岩を越えるとヒグマ濃密地帯のルシャの浜が見えてくる

右)雨上がりの霞の向こうにルシャと硫黄山が顔を出す

 

      

左)去年潮に流されたポイント『カシュニの滝』も潮止まりのせいか楽にクリア

右)ゴールの目処もつき、天気は下り坂だが表情は明るくなる

 

    

左)蛸岩を越えたらラストスイムだぁ〜 

右)林道はもうすぐそこ!ってところで昨年と同じ場所でクマに遭遇・・・ 今年は2,3歳の若熊(推定150〜200kg)

 

     

左)距離を保ってクマにこちらの存在を知らせる。が、マス捕りに夢中で完全に無視される 

右)クマを求めて数艇のクルーザーがやってくるとクマは突然こちらに向かって歩き始めた。観光客は大喜びだったに間違いない(長井秀和風に)

 

 

左)とにかくジワジワ後退するが、奴のスピードはとにかく速い。かなりテンパったが、クマスプレー、爆薬&爆竹を持って神に祈るしかなかった・・・ 

右)30分の格闘後、ようやく林道終点のルシャの19号番屋に到着。最近クマが多すぎるということでトラックの荷台に乗せて貰いキケン地帯をクリア!

 

   

左)林道に入ってすぐに親子熊、そして若熊など計4頭のクマに遭遇。なんじゃここは、サファリパークかぁ〜? 

右)辛い林道歩きが2hも短縮できホントラッキ〜 『岬から歩いてくる奴は見たことないっぺ』と言って親切にしてくれたおっちゃん、ありがとう!

 

 

左)ゴールの知床大橋到着!素直にバンザ〜イ。ちなみにピーちゃんは橋から放尿中・・・

右)おまけ・・・・ 

ウトロ着後、キャンパーで溢れ返る知床に別れを告げ、念願の北見の焼肉を食って、翌日難民キャンプの如く洗濯しまくったのでした。

 

※今日のお礼

・19号番屋の大野さん、いろいろとお世話になりました!またいつか漁が暇な時に遊びに行きま〜す

・イチかバチかのヒッチハイクで、びしょ濡れで小汚い僕らを嫌な顔ひとつせず、ウトロから相泊までの長距離を乗せてくださった金子さん、

 ホントありがとうございました。とても感謝してると同時に、止まってくれた時にほんの一瞬ですが、『残念、ギャル車じゃなかった〜』と

 思った自分に反省してます。

 

 

おしまい